キャリアパス支援

川畑 奈緒
カワバタ ナオ
所属
岐阜聖徳学園大学
人間栄養学科 准教授
キャリア概要
私はこれまで、慢性腎臓病や糖尿病を中心に、病態栄養の臨床と研究に携わってきました。この分野を専門とするようになったきっかけは、最初に勤務した大学病院で担当した病棟が、糖尿病・代謝・内分泌内科および腎臓・高血圧内科だったことです。
特に、透析導入の主要な原因である糖尿病関連腎臓病では、早期からの栄養介入が患者さんの予後に大きく影響することを、日々の臨床を通して実感しました。この経験から、「栄養指導の質を高めることで、疾患の進展を抑制できるのではないか」という問題意識を持つようになり、これが私のキャリアにおける最初の大きな転機となりました。
外来・入院患者さんへの栄養指導では、科学的に正しい知識を伝えるだけでなく、患者さん一人ひとりの生活背景や価値観に寄り添った支援の重要性を学びました。「実行できる食事療法を一緒に考える」姿勢を大切にし、QOLの向上につながる栄養支援を実践してきました。
臨床経験を重ねる中で、同じ指導でも効果に差が生じる理由や、患者さんと医療者の間にある認識のずれなど、多くの疑問が生まれました。これらの疑問を研究として明らかにし、再び臨床へ還元したいと考え、大学院へ進学しました。大学院では研究手法やエビデンスの解釈を体系的に学び、臨床の問いを科学的に解明しようとする視点を身につけることができました。
現在の活動内容と、専門職としてのやりがい・魅力
大学院修了後は、糖尿病や腎臓病の患者さんを対象とした栄養指導の介入研究に取り組み、医師と協働しながら無作為化比較試験を含む研究に中心的に関わってきました。その成果は、国内外の学術雑誌や学会で発表してきました。
こうした臨床に根ざした研究活動は、日本病態栄養学会においても評価をいただき、2017年の第20回日本病態栄養学会 若手優秀独創研究賞、2024年の第27回同学会 若手研究特別賞を受賞する機会に恵まれました。実臨床から生まれた問いが学術的にも意義あるものとして認められたことは、研究と臨床の両立を続けるうえで大きな励みとなっています。
現在は、管理栄養士の養成大学において、管理栄養士を目指す学生に対する教育・研究に携わっています。臨床で培ってきた病態栄養の視点や、患者さんに寄り添う姿勢を、将来医療現場に立つ学生たちに伝えることが、私の大きなやりがいです。臨床・研究・教育が互いに循環しながら深まっていく点に、専門職としての魅力を感じています。
若手医療者や学生へのメッセージ、本学会へ参加の意義
専門性を高めるため、日本病態栄養学会が認定している病態栄養専門管理栄養士、NSTコーディネーター、腎臓病病態栄養専門管理栄養士、肝疾患病態栄養専門管理栄養士などの資格を取得してきました。これらの資格は、病態を多角的に捉え、多職種と連携しながら栄養管理を行ううえで大きな支えとなっています。
また、市民公開講座や医療者向けの講演、広報媒体での情報発信などを通じて、栄養の重要性を社会に伝える活動にも取り組んできました。専門的な知見を、わかりやすい形で社会に還元することも、病態栄養に携わる者の重要な役割だと考えています。
若手医療者や学生の皆さんには、「栄養は医療の根幹を支える力がある」という視点をぜひ持ってほしいと思います。日々の学びや臨床の中で生まれる小さな疑問を大切にし、日本病態栄養学会のような多職種が集う学びの場を活用することで、視野は大きく広がります。本学会への参加が、皆さんのキャリア形成と病態栄養学のさらなる発展につながることを願っています。











